黒留袖にふさわしいメイクとはどのようなものか?

着物に合わせるメイクは出来るだけナチュラルなものが望ましいと言われますが、結婚式などのお祝いの席に黒留袖で出る場合もナチュラルメイクに徹した方が良いのか迷われる方は多いです。黒留袖に合わせるメイクは、お祝いの席にふさわしい、品のあるものが望ましく、派手過ぎるメイクは不快感を与えかねません。 そこで今回は、好感度の高い黒留袖メイクについて、合わせる口紅の色、アイシャドウの色なども含め、ご説明していきます。

黒留袖を着た時のメイクはいつもよりしっかり目に

黒留袖を着た時のメイクはいつもよりしっかり目に

黒留袖を着る時というのは、恐らく息子や娘の結婚式に出席するときでしょう。花嫁花婿の母親は何かと人前に出る機会が多く、それだけ視線を浴びる機会が多い立場にあります。母親の装いはもちろん、メイクやヘアスタイルに至るまで人々のチェックが入ることは覚悟しておいた方が良いでしょう。特にメイクは、派手過ぎるもの、薄過ぎるものは結婚式の場に相応しくない、母親という立場の人間のメイクとして相応しくないと思われることがあり、なかなか難しいです。しかし、写真撮りなどもあるので、ある程度はっきりしたメイクにしておく必要があります。 派手過ぎず、それでいてはっきりした、品のあるメイクをするようにしましょう。

黒留袖を引き立てるためのメイク術

「派手過ぎず、それでいてはっきりした、品のあるメイク」と言われても、一体どんなものがそのメイクに該当するのか判断が難しいです。そこで、黒留袖を引き立てるためのメイク術について詳しくご説明していきます。

ベースはワントーン明るめを意識

年齢を重ねればシワやシミ、顔のたるみなどの肌トラブルも出てくるので、あえて陰影をつける色味は使わずに顔全体をふんわりと明るく仕上げるのがミセスのフォーマルメイクの基本になります。 黒留袖は黒色というとてもはっきりした地色の着物なので、顔を明るめの色で整えることでよりコントラストがはっきりし、顔映りがとても良くなるのです。 写真があるからとあえて鼻筋や頬にシャドウを入れるのではなく、顔全体を明るい色味で仕上げることを意識すると良いでしょう。

目元はアイラインを太めに引く

目元はやはりはっきり見せたいところなので、いつもよりもやや太めのアイラインを意識するようにしましょう。上手にメイクするには、ペンシルとリキッドの 2種類を使うと良いです。

 まずは、ナチュラルに描けるペンシルで切れ長の目元を作ります。目尻だけ黒のリキッドでラインを描き足し、目元を引き締めます。リキッドで全てを描くとにじんでしまったり、予定よりも太くなってパンダ状態になってしまったりといった失敗をしてしまう可能性が高まりますが、ペンシルをメインに使うことでこういった失敗を防ぐことが出来るのです。派手過ぎず、それでいて華のある目元にするにはペンシルとリキッドの 2種類を用いましょう。

アイシャドウを濃くし過ぎてしまうと、銀座のママ風になってしまうので、傍目から見て、なんとなく色が付いているぐらいの付け感にしましょう。

色味は目元を明るく見せるために、淡いピンクや明るめの薄紫などが望ましいです。パール系が入っていればより華やかに見えるので、積極的に使うと良いでしょう。幅広くぼかしながら優しく色を重ねて付けていくと上品な仕上がりになります。

口紅は華やかなローズ系やブラウン系を選ぶ

ミセス世代には落ち着いたローズ系の口紅がお勧めです。華やか過ぎず、洗練された印象の口元を演出できます。ローズ系でも華やか過ぎるという方は、最後にブラウン系の口紅を重ね付けして色を落ち着かせると良いでしょう。

口紅を付ける際には、まず同系色のペンシルで輪郭を取るところから始めます。輪郭はやや大きめに、ふっくらした口元をイメージして描いていきます。

口紅のにじみ予防に、ルースパウダーをお持ちの方はリップラインに乗せるようにパウダーを軽く付けましょう。口紅は紅筆を使って丁寧に塗っていきます。この時、最初に描いた輪郭から口紅が飛び出さないように注意しましょう。

最後にティッシュペーパーで口元を軽く押さえ、余分な口紅を吸い取ります。 口紅は、そのまま塗ってしまうと失敗してしまう可能性が高いので、必ず紅筆で付けるようにしましょう。

黒留袖に合った髪型でメイクを際立たせる

顔の印象を決めるのはメイクだけではなく、髪型も重要なポイントになってきます。特に黒留袖の場合は、頭から足先までのトータルコーディネートの美しさが人目を引くので、黒留袖にあった洗練された髪型を意識しなくてはいけません。

髪型はまとめたアップスタイルが基本

着物に合わせるヘアスタイルはアップスタイルが基本ですが、最近はちょっと崩した髪型が若者を中心に好まれる傾向にあります。黒留袖に合わせる髪型は、最上格の装いに相応しい、格の高い髪型にするのが望ましいです。格の高い髪型とは、すなわちアップスタイルのものを言い、黒留袖に合わせる髪型はアップスタイルが基本となっています。少しでもダウンヘアがあるとカジュアルに見えてしまったり、髪型が崩れてしまったのだと誤解されてしまったりするので注意しましょう。

どんなに短いヘアスタイルであっても、崩れないようセットし、黒留袖に相応しい髪型に整えることが求められます。

アクセサリーは基本つけない

着物であっても小さめのピアスは欠かせないという方もいますが、黒留袖を着る時にはノーアクセの状態が望ましいです。ピアスやイヤリングといったものは洋装には相応しいですが、和装には似つかわしくないものも多いので、特に格の高い黒留袖を着る時にはピアスやイヤリングといったアクセサリーは付けないようにしましょう。 帯留も、格の高い黒留袖や袋帯に相応しいものというのはなかなか手に入らないので、黒留袖や袋帯の品格を落としかねない帯留は付けない方が良いでしょう。帯留が黒留袖に合っているかどうかよく分からないという場合も、帯留の使用は避けましょう。黒留袖は帯留が無くても十分華やかなので、あえて帯留を付ける必要は全くありません。 着物の美しさ、帯の美しさ、着る人の美しさを存分に出すためにもアクセサリーは付けずに黒留袖を着ましょう。

黒留袖着用時の立ち振舞

黒留袖を着て人前に出たら、黒留袖の格に相応しい立ち振る舞いが求められます。歩き方、姿勢、座り方、立ち方、ちょっとした仕草など、常に人に見られていることを意識して行動しなくてはいけません。ここでは特に注意が必要な立ち振る舞いについて説明します。

歩幅は小さく

着物は裾すぼまりで着付けてもらうのが基本なので、着物を着たら自然と歩幅は狭くなります。しかし、着物の時でも普段と同じような大股で歩いてしまうと、裾が乱れ、人によっては膝下が丸見えの状態になってしまうこともあります。着物を着ているにも関わらず、生脚が見えてしまう状態というのは大変見苦しいものなので、注意しましょう。特に格の高い黒留袖で生脚が見えるような失態は許されないので、歩く時にはいつものように歩くのではなく、歩幅を小さくして、楚々と歩くようにしましょう。

着席時は背もたれに寄りかからない

洋装の時にはドレスであっても背もたれに寄りかかってしまうことがありますが、着物は後にも華があるので、背もたれに寄りかかるような怠惰な姿を人に晒してはいけません。黒留袖に合わせる帯結びは二重太鼓というお太鼓系の帯結びになるので、背もたれに寄りかかることで帯結びが崩れるということはありませんが、着物姿で椅子の背もたれに寄りかかった姿勢でいるのは大変品がないと判断されかねないので注意して下さい。

また、背もたれに寄りかかって座ってしまうと、都度都度の立ち座りが大変になってしまうのでやめましょう。椅子に座る時には、浅めに腰かけ、姿勢をピンと張った状態でいるよう心がけましょう。姿勢の良さは格の高い黒留袖をより格調高く見せてくれることでしょう。

手を挙げる時には袖口をおさえる

もし黒留袖を着ていて手を挙げる機会があったならば、必ず袖口をおさえて手を挙げるようにしましょう。洋装の時と同じ感覚でバサッと勢いよく手を挙げてしまうと、生の腕が丸見え状態になってしまい、来客に不快感を与える恐れがあるので注意しましょう。 手を挙げる時も上品さを忘れずに、片手で袖口をそっとおさえるようにして手を挙げましょう。

主役は花嫁であることを意識する

花嫁花婿の母親は結婚式でも目立つ立場にある人間ですが、主役はあくまでも花嫁であることを忘れてはいけません。花嫁よりも目立ったメイクにしたり、ボリュームたっぷりの髪型にしたり、派手なヘアアクセサリーや帯留を付けて悪目立ちしてしまわないよう十分注意する必要があります。

花嫁があまり派手好きではなく、髪の毛もシンプルにまとめるタイプが好きという場合は、母親はその髪型よりも派手になり過ぎないよう配慮する必要があります。花嫁の髪型や髪飾り、アクセサリーなどがどんなものになるか様子を見た上で、当日のヘアを担当してくれる美容師さんと一緒にメイクやヘアスタイルについて相談してみるのが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 普段、あまり意識しない着物メイクですが、黒留袖用のフォーマルメイクと訪問着用のフォーマルメイクとでも差があるものなのです。 黒留袖を着付けてもらう場合は、その美容院でメイクやヘアセットもお願いしてしまうことがほとんどなので、打ち合わせの際に自分がイメージしている髪型、化粧の仕上がりなどを担当の美容師さんと相談してみると良いでしょう。

自分が望む髪型が黒留袖に最適なものなのかどうかという判断は一人では難しいので、プロである美容師さんやメイクさんに相談して決めるのが望ましいです。