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【着付け師監修】夏のお宮参りの服装はなにがおすすめ?服装を選ぶときの注意点とは?

特集
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医療技術が発達していなかった時代には、赤ちゃんが元気に育つことは稀で、生まれてきて数日で亡くなってしまうということは日常茶飯事でした。そのため、赤ちゃんが生まれてきてから1ヵ月ほど様子見の期間が設けられ、その赤ちゃんに生きる力がしかと備わっていることが確認出来た時に、赤ちゃんは生後初めて氏神様にお参りして氏子となりました。   この風習が今日までも続いており、それを「お宮参り」と呼んでいます。お宮参りは生後約1ヵ月頃に行われますが、夏生まれの子にも掛け着を羽織らせなくてはいけないのか悩まれた方も多いでしょう。そこで今回は、夏のお宮参りの服装についてまとめてみました。  

赤ちゃんの服装

長らくお宮参りの時には、赤ちゃんに祝い着の掛け着(産着)を羽織らせるのが慣習となっていましたが、最近では洋装で済ませることも多くなりました。生後1ヵ月の赤ちゃんの装いは、男女差は特になく、掛け着の柄や色にのみ男女差が現れます。  

夏に着るもの 

夏場はとにかく暑く蒸すので、掛け着を用いることは少なく、記念写真のときだけ掛け着を羽織らせるケースが増えています。万が一掛け着を羽織らせてお宮参りに臨む場合、赤ちゃんは肌着だけでも問題ありません。それでも暑そうであれば、肌着の胸紐を解いて、風通しを良くしてあげましょう。   最近の夏の赤ちゃんの装いは、風通しの良いベビー・ドレスが用いられることが多いです。本来であれば、ベビー・ドレスの下にロンパースや肌着などを着せるところですが、暑さ対策ということで、直にベビー・ドレスを着せてしまうこともあります。  

夏以外の季節に着るもの

夏以外でもベビー・ドレスを用いる人はいますが、夏の時のように直にベビー・ドレスを着せるということはありません。ロンパースや下着、肌着を着せた上にベビー・ドレスを着せます。冬場はそれでも冷え込むことがあるので、下着を長袖にし、温かいおくるみを用いるなどして赤ちゃんの体温を下げ過ぎないよう調整する必要があります。   正式な和装スタイルでお宮参りに臨む場合は、白絹で作られた赤ちゃん用の和装下着(白羽二重)を肌着の上に着せ、その上に掛け着を羽織らせます。掛け着自体袷で作られているので、寒い冬場でも赤ちゃんを温かく保ってくれます。   

ママの服装

お宮参りに適したママの服装について、洋服の場合と着物の場合、それぞれどんな服装が良いのか説明します。  

ケース①:留袖

昔はお宮参りのママの服装と言えば、第一礼装である留袖でした。赤ちゃんにとって初の行事であり、正式な儀式として位置付けられていたお宮参りには、ママも正式な装いで参加する必要がありました。特に、赤ちゃんが白羽二重と掛け着という正式な装いでお宮参りに臨む場合は、服装の格を同等にするためにママは留袖でなくてはいけなかったのです。今日では、お宮参りに留袖を着る人はほとんど居なくなりましたが、正装で臨みたいというのであれば留袖を着ることをお勧めします。  

ケース②:訪問着、色無地(紋付き)、付け下げ

近年では、留袖の代わりに準フォーマルの訪問着や色無地(紋付き)、付け下げがよく用いられます。色味は淡いピンク、ブルー、ベージュ、オフホワイトなどが好まれる傾向にあり、掛け着の色柄に合わせて、ママの着物の色や柄を選びます。あまり派手な色柄の着物ですと掛け着の華やかさの邪魔になってしまうので気を付けましょう。ちなみに、着物で授乳する場合は、身八つ口(脇の下辺り)と呼ばれるところから行います。  

ケース③:ワンピース 

ワンピースを着ていく場合は、フォーマルワンピースを選びましょう。色は白や紺、ベージュなど落ち着いた色味が好まれる傾向にありますが、綺麗なピンク色や淡い紫色などのワンピースでも良いでしょう。露出が少なく、裾丈も膝が隠れるものが望ましく、上品さが出るワンピースを選ぶようにしましょう。お宮参りの時間が長くかかりそうな場合は、万が一のことも考えて、授乳口のあるワンピースを選ぶようにしましょう。  

ケース④:スーツ 

スーツでお宮参りに臨む場合、動きやすいものを選ぶようにしましょう。タイトスカートなどは足さばきが悪く、動きにくいので避けましょう。スカートであればフレアタイプのものやスリットが入ったものを選ぶのが望ましいです。色味は黒や紺、ベージュなど落ち着いた色味のものを選びましょう。但し、夏場はジャケットを着ていると暑くなってしまうことが予想されるので、簡単に脱ぎ着出来るタイプのものを選ぶようにしましょう。夏場であればトップスは袖なしのものでも構いませんが、授乳が出来るタイプのものを選んでおくようにして下さい。  

ケース⑤:靴 

赤ちゃんを抱っこする必要があるということも考えて、ヒールの靴は避けましょう。特に神社は足場が悪いので、赤ちゃんを抱っこしている時にヒールが岩に挟まって転んでしまったとなっては大変です。ヒールのない、フォーマル用のフラットシューズを用意しておきましょう。色味はどの洋服にも合わせやすい黒またはこげ茶のものがお勧めです。  

ケース⑥:アクセサリー

着物を着る場合、アクセサリーは全く必要ありませんが、ワンピースやスーツなどの洋装の場合は、パールを付けて格を上げる場合もあります。パールのネックレスやイヤリングを付ける場合は、長さに気を付けましょう。長すぎるものは、赤ちゃんの邪魔になる可能性があるので、ネックレスであれば40cmぐらいのものを選ぶようにしましょう。イヤリングも長すぎると鬱陶しかったり、赤ちゃんに引っ張られたりしてしまうので、耳たぶに乗るタイプのものを選ぶようにしましょう。  

パパの服装

お宮参りに適したパパの服装について、洋服の場合と着物の場合、それぞれどんな服装が良いのか説明します。  

ケース①:スーツ

パパのお宮参りのスタイルはスーツが基本です。ストライプや柄が入ったものはカジュアルすぎてしまうので、無地のタイプを選びましょう。色は黒や紺などのダークカラーが望ましいです。  

ケース②:ネクタイ、ワイシャツ

ワイシャツは白が基本です。色物や柄物はスーツの時と同じく、カジュアルすぎてしまうので、選ばないようにしましょう。ネクタイは、黒ネクタイ以外であれば何色を付けても問題ありませんが、目立ちすぎる色柄ものは避けましょう。ママの装いや掛け着の色に合わせて、ネクタイの色や柄を選ぶようにすると良いでしょう。  

ケース③:靴

フォーマルな装いで統一したいので、靴に関しても紐のないカジュアルタイプは避け、紐のある黒色の靴を履くようにしましょう。間違ってもスニーカーを履くことの無いように気をつけましょう。  

ケース④:着物 

パパも着物を着る場合、着物と羽織の装いをします。冬場は寒いということでウールの着物を選びたくなるかもしれませんが、ウールの着物は普段着用なのでお宮参りの席には相応しくありません。紬の着物に羽織を合わせたものが一般によく用いられます。色柄の指定は特にありませんが、派手なものは避け、掛け着を引き立てる色物を選ぶようにしましょう。また、フォーマルな装いなので、足袋は色物を避け、白足袋を用いるようにしましょう。  

お宮参りの服装における注意点

お宮参りに着ていく服を前もって決めていても、当日の天候次第では変更を余儀なくされる場合があります。ここでは、健康面においてどういったことに配慮しながらお宮参りの服装選びをするのが良いかまとめています。  

時期をずらすのはあり? 

お宮参りを行う時期ですが、男児は、生後31日目、女児は生後32日目にお参りするというのが正式とされています。しかし、地方によっては生後100日目にお宮参りをするところもあるなど多様です。今日では、男児は生後30から32日目の間に、女児は31日目から33日目の間にお参りすればよいという認識が定着しています。   但し、お宮参りを行う日の天候や、その日の赤ちゃんの具合といったものが最優先されるので、必ずしも上記に挙げた日数にお宮参りをしなくてはいけないというものではありません。特に夏生まれの赤ちゃんは、時期をずらして、涼しくなった秋冬頃にお宮参りを行うことが多いようです。   

熱中症に注意

お宮参りの慣例に習って、夏場であっても生後約31日前後にお宮参りを行う場合は、熱中症に気をつけなくてはいけません。特に、体温調整がまだ上手く出来ない赤ちゃんは熱中症になりやすく、症状が重い場合は最悪死に至ることもあります。   お宮参りを予定している日の温度が35度を超える猛暑日の場合は、無理をせず、別の日にお宮参りを行うのが良いでしょう。赤ちゃんの健康を第一に考え、日程調整するようにしましょう。万が一、お宮参りを行っている途中で赤ちゃんの様子がいつもと違っていたり、ぐったりしていたりした場合は、即お宮参りを中断し、家に戻りましょう。症状が思わしくない場合は病院に直行するようにして下さい。  

まとめ

 いかがでしたでしょうか。赤ちゃんの装いに関しては、赤ちゃんの体調を優先させたもので考えるのが望ましいといえます。必ず掛け着を着せなくてはいけない、必ず肌着を着せなくてはいけないなどの決まりごとはないので、赤ちゃんが快適に過ごせる服装を心がけましょう。パパ、ママの服装に関しては、カジュアルを避け、準礼装または礼装を目指し、フォーマルな装いでまとめましょう。あくまでも主役は赤ちゃんなので、赤ちゃんの装い(掛け着)よりも目立った格好にならないよう注意しましょう。

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