
訪問着といえば、行事で着る機会の多い身近な着物の一つです。いざ着ることを検討し始めた時に悩むポイントと言えば、購入とレンタルのどちらにするかという点ではないでしょうか。購入、レンタルのどちらを選ぶにしても、気になるのはやはり「相場」。
使用する場面や回数に左右されることは理解していても、なんとなくの目安は欲しい
……。そのような人に向けて、この記事では購入とレンタルの相場の違いだけでなく、それぞれのメリットや活用方法まで紹介します。忘れてはいけない着付けの依頼費用まで、しっかりチェックしておきましょう。
訪問着について
「訪問着」について、なんとなく理解している人はいますが、訪問着とはなにかと問われて、自信をもって説明できる人はどれほどいるでしょうか。そこでまずは、訪問着の基本から見ていきたいと思います。
訪問着とは
訪問着は、第一礼装・準礼装・略礼装のうち、準礼装や略礼装にあたる着物を指します。色留袖とよく似ており、訪問着は上半身にも絵柄が広がっているという違いがあります。胸元や袖から裾にかけて、流れるように広がる絵羽模様が美しく、上品な印象を与えてくれる装いです。
基本的には略礼装の場面で着用する機会が多い訪問着。そのなかでも紋付きの訪問着を選べば準礼装として使用でき、非常に幅広いシーンで活躍してくれます。
訪問着の使用シーン
訪問着の使用シーンは豊富にあります。
●披露宴の招待客として
●お宮参りや七五三
●入園・入学式、卒園・卒業式
●お呼ばれ・同窓会・お食事会
●お茶会・園遊会・祝賀会
●観劇
これらは全て訪問着を着用できるシーンであり、基本的には紋なしの訪問着を着用していきます。紋付きを選ぶポイントは「格式の高い場面か否か」で判断できます。
例えば園遊会や祝賀会など、フォーマルに近い装いが必要になる式事・祭事では、紋付きを選ぶこともあります。またお茶会の席であれば、茶事や初釜などの正式なもてなしを受ける場面には紋付きがおすすめです。
訪問着を購入する場合の相場
訪問着を購入する場合、気になるのは相場ではないでしょうか。そこでここでは、金額を左右するポイントを押さえておきましょう。
購入する場合の相場
購入する場合の相場は、約
20~50万円です。ただし、有名デザイナーが手がけたものやブランドもの、職人の手作業で作られている場合は
100万円以上する訪問着もあります。正絹・化繊や手織り・機械織りといった違いでも価格に大きな差が出ます。着物は帯や小物、バッグなども必要になるため、一式を初めて購入するのであれば化繊・機械織りの比較的安価なものでも、
10万円以上の費用が必要になります。
ただし、訪問着購入価格の相場はあくまで目安なので、販売店によっては似た商品でも価格が違うなんてことも。また繁忙期・流行・季節柄といった、時期的な要素に左右されることもあります。そのため一番安心なのは、着物に詳しい信頼のおける友人に同伴してもらうことです。また、その場で即断せずに、複数の店舗を見て回ることも大切です。
購入するメリット
訪問着を購入するメリットは以下の
4つです。
●体に合わせて仕立てられる
きちんと採寸を行って仕立ててもらうので、自分の体に合うものを作れるメリットがあります。体のラインにピッタリと合った着物は非常に美しく、着る人を引き立ててくれます。
●急なお呼ばれにも対応できる
自分で訪問着を持っていれば、急なお呼ばれや祭事などが入った場合でも対応できます。すぐに準備が必要になっても、美容院や催事場で着付けやヘアセットの手配だけで済むのは魅力的です。
●着用回数が多ければ、レンタルより安く済む
着物を着る機会が多い女性にとっては、購入する方がレンタルを利用するよりも安くなります。訪問着は着用できるシチュエーションが多いため、長期的に見ると安くなります。ただし、毎回同じ訪問着でイベントに出席することが嫌だという人は、
1着の購入にどれだけかけるべきなのかは考えておきましょう。
●娘や孫に残すことができる
母親から自分に受け継がれるものがあるように、自分も娘や孫に残してあげることができるものが着物です。着るモノとしての実用性だけでなく、高価な着物であれば資産価値として受け継ぐこともできます。
訪問着をレンタルする場合の相場
訪問着をレンタルする場合の相場と、レンタル先の選び方やメリットについて見てみましょう。
レンタルする場合の相場
訪問着をレンタルする場合の相場は、約
1万円
~5万円。ただし、高級なものになってくると
10万円以上するものもあります。また、訪問着はレンタルをする場所によっても金額が変わってきます。
●ホテル・催事場でのレンタル
相場よりやや高めの約
2万円
~が主流。ただし、催事のある会場で着付け・ヘアメイクもしてもらえるので、移動に伴う持ち運びが不要な点がポイント。雨の日でも汚す心配がなく、その場で返却できるのも手軽です。
●呉服店でのレンタル
こちらも約
2万円
~が主流。呉服店レンタルの場合、オーダーレンタルと呼ばれる方法もあります。これは、自分のサイズに仕立てて貰ったものをレンタルできるもので、帯や小物を自分で選べるコースもあります。その場で見て判断できる、種類の豊富さが一番のポイントです。
●撮影スタジオでのレンタル
こちらは無料
~約
3万円が相場。お宮参りや七五三の写真を撮影してくれるスタジオで、レンタルする方法です。スタジオは着物のレンタルではなく写真撮影に発生するので、前撮り写真の購入特典として、参拝当日のレンタルが無料
~割引価格になっているのが特徴です。
●ネットレンタル、宅配レンタル
こちらは約
1万円
~と相場の中でも比較的お手頃なのが魅力。店舗コストが無いため、店舗レンタルの相場より安く借りられるメリットがあります。宅配で自宅にレンタル品が届くので、店頭へ引き取りに行く手間がありません。
レンタルするメリット
購入にしかないメリットもありますが、それはレンタルも同様です。それではレンタルのメリットを見ていきましょう。
●安く高級、品質の良い着物を選べる
購入すれば数十万円するような高価な着物でも、レンタルであれば安く抑えることができます。
●保管やクリーニングの手間がない
着物を購入すると虫干しやクリーニングの手入れが必要ですが、レンタルでは不要です。安心パック・保証サービスをつける事で、万一汚してしまっても追加料金無しで返却することができます。
●レンタルの度に違う色柄を選べる
着る機会が多い訪問着だからこそ、レンタルであればさまざまな色柄を選ぶ楽しみがあります。毎回同じものになってしまう心配がなく、その季節に合わせた色柄を気軽に選べるメリットがあります。
●レンタル期間の指定ができる
当日レンタルだけでなく、数日
~数週間のレンタルも可能です。例えば、入り用の催事が直近に複数回ある場合にも
1回のレンタルで済ませることができます。
●仕立て上がるのを待つ必要がない
急遽必要になった場合でも、レンタルであれば即座に対応できます。すでに購入している人であれば同様に対応できますが、どうしても購入してから仕立て上がるまでに数週間
~数ヶ月以上かかるので、仮にいまから
3日以内に必要であればレンタルがおすすめです。
着付け師に依頼をする場合は別途料金が必要なことも
自分で着付けができない場合、着付けも依頼が必要になります。別途料金が必要になることもあり、訪問着であれば約
5千円
~1万円前後が主流です。ヘアセットやメイクも依頼するとさらに約
1万円
~の費用が追加で必要となることがあります。
美容院での着付けだけでなく、催事場や呉服店での着付け、出張で現地に着付け師を派遣してもらう方法もあります。着付けは購入・レンタル問わず必要になるので、自分で着付けができない人は必ず予約しておきましょう。
まとめ
着物のなかでもさまざまな場面で使用できる訪問着。自分だけの着物を仕立てるのも素敵ですが、いきなり購入をするのはハードルが高いという人は、まずはレンタルをして見てはいかがでしょうか。また、お子様の行事をスーツで済ます方もいますが、手軽で安価なレンタルを利用して、色鮮やかな訪問着で華を添えてみるのもありかもしれませんよ♪