年初めの恒例行事となっている初詣は、毎年多くの人で賑わいをみせています。参拝客の
8割以上は普段通りの洋服姿ですが、中には礼装の着物を着て初詣に出掛ける人もいます。そんな着物姿の人を見て、「来年こそは私も着物で」と考えた方もいるでしょう。
新しい年を、新しい気持ちや意気込みと共に、晴れ晴れしい気分で迎えるための装いには、華やかな振袖はとても相応しいと言えます。しかし、初詣という日本の伝統行事における着物の装いには色々決まりごとがあるのではないかと不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初詣に振袖をと考えている方のために、初詣で振袖を着ることの良さ、初詣に振袖を着る時の注意点についてまとめました。初詣に振袖を着ることに敷居の高さを感じていた人であっても、気兼ねなく振袖を着て初詣を楽しむことが出来るようサポート致します。
初詣はしきたりが厳しくない!
「着物を着る時には
TPOを考えなくてはいけない」、「着物を着る時には着物の格を把握した上で相応しいものを選ばなくてはいけない」など、着物は種類によっていつ、どんな場所に着ていくものなのかというのがとてもはっきりしています。
例えば、「結婚式には礼装、もしくは準礼装の着物で袋帯を合わせる」などルールがきっちり決められています。しかし、初詣に関して言いますと、ルールは無いに等しく、基本的にどんなお召し物でも許容されます。
初詣に洋服で行く場合であっても、ジーンズのようなカジュアル服からスーツのようなフォーマルウェアまで幅広いジャンルの服を見かけますが、どの服装が正しいといった基準はありません。これは和装においても同様で、ジーンズのような感覚でウールの着物や小紋の着物を着ても、礼装の振袖をびしっと着ても構いません。
このように、初詣には装いの格に制限がないので、「
TPOなど考えずに着物を着たい」と常々思っている方や、「着る機会の少ない振袖を着たい」と思っている方にとって、着物で初詣に出掛けるというのはとてもよいタイミングといえます。。
初詣に振袖(着物)を着るメリット
周りにも着ている人がいるので着やすい
着物姿はどうしても目立ってしまい、どうにも落ち着かないと感じる方は多いですが、初詣に着物を着る方は意外と多いので、初詣に振袖を着て行っても悪目立ちすることはありません。
あたたかい装いになっている
夏用の振袖(絽の振袖)というものも存在しますが、振袖と言えば春、秋、冬に着る袷の着物を指します。袷の着物は、裏地が付いているので寒さを通しにくく、着ていてとてもあたたかいです。
また着物を着る際には、和装下着の上にタオル補正、長襦袢、着物、帯という順で着付けられるので、お腹周りは
4重のあたたかさがあり、冷気が入り込む余地もありません。そのことから、「着物を着た時のあたたかさはカシミアのセーターにコートを羽織るよりもあたたかい」と言われています。
着物の中でも礼装と言われる振袖と留袖は特にしっかりした仕立てがされているので、あたたかさも格別です。但し、ポリエステル素材で出来ているものに関しては振袖であっても正絹の振袖に比べて保温効果は少ないです。
新年早々華やかな気分で迎えることができる
未婚者(ミス)の第一礼装と言われる振袖は、とても華やかな着物です。美しく華のある振袖を身に纏うことで気持ちも晴れやかになり、華やかな気分で新年を迎えることが出来るようになります。振袖は晴れやかな席に相応しい着物なので、新しい一年を迎える初詣にもぴったりです。
初詣に振袖(着物)を着ている時の注意点
足元の防寒対策にも気を使う
振袖や着物を着て、寒さを感じる場所があるとすれば、それは脚でしょう。足袋はくるぶしまでしか丈がないので、歩くたびに冷気が裾から入り込み、膝下がスースーして寒いと感じることがあります。裾は開きすぎないように着付けられますが、それでも心配だという方や、冷え症だという方は、和装用のストッキングやレギンスなどを用いて寒さ対策しましょう。
トイレは済ませておこう
初詣は毎年とても混雑します。中には入場制限する神社もあり、「
1時間待ち」や「
3時間待ち」などのプラカードが掲げられることすらあります。ぎゅうぎゅうに並んで待つ場合、動き慣れない着物ではよりトイレに行くのが大変になります。万が一のことを考えて、事前にトイレは済ませておくのが賢明です。
人混みで着付けが着崩れないように注意する
着物を着た時の一番の不安は、着物が着崩れてこないかどうかということでしょう。特に着物慣れしていない人は、ちょっとの弾みで着崩れを起こしてしまう可能性があるので注意したいところです。具体的に注意する点は、着物裾(前後)です。
満員電車の中で誰かに靴を踏まれて酷い思いをしたという人も多いでしょう。それが洋服ではなく着物だったらと考えてみて下さい。着物の裾は大体草履すれすれか草履より数ミリ長く着付けられるので、靴を踏まれる感覚で誰かに踏まれてしまうと草履が脱げるだけではなく、着物の裾を引っ張られてしまうことになります。
裾を引っ張られたり自分で踏んづけてしまったりするとあっという間に着崩れてしまうので、よく注意してください。特に、階段を上る時に自分で裾を踏んづける傾向が高いようなので、階段を上る時には必ず着物の両脇線(太腿辺り)を持って、前の裾を少し上げるようにしましょう。
袖の長さに注意する
振袖といえば、地面に付きそうな長い袖が特徴ですが、着物慣れしていない人はこの袖で苦労することも多いようです。袖の長さを意識していないと、階段を上る際に引きずってしまったり、誰かに踏まれてしまったりと悲惨なことが起きます。それが原因で大切な振袖に穴が開いてしまったとなっては取り返しがつかないので、振袖を着る際には長い袖のこともよく考慮に入れて行動するようにしましょう。
元旦当日に振袖着付けをしてもらえるか確認する
振袖は、よほど着物を着ることに慣れている人でない限り、自分一人では着ることが出来ません。一般的に振袖を着る際には美容院や着付け師に着付けを依頼することになりますが、元旦はお店を閉めているところが多いので、早い段階で着付けをしてくれるところを探す必要があります。うっかりしていると予約出来なくなってしまう可能性があるので、「元旦に振袖を着て初詣に行く」と決めている方は早めに行動を起こしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。振袖は、成人式や結婚式にしか着ることが出来ない着物だと認識されがちですが、初詣にも相応しい晴れ着なのです。着物はそれ自体で防寒仕様になっているので、寒い元旦であっても問題ありません。むしろ洋装よりもあたたかいので、冷え症の方は着物の方が向いているかもしれません。
初詣に振袖を着たいけれど、着物を着ることに慣れていないという方は、振袖の長い袖と裾にだけ注意して、振り袖姿の初詣を大いに楽しんで下さい。