結婚前の女性が親族として結婚式に出席する場合など、五つ紋の色留袖を着ようとしてもあつらえてある方は現代そう多くないと思います。じゃあレンタルで!と思いついた時にふと、なかなか着る機会のない五つ紋の色留袖をレンタルしているところなんてあるのかな?と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、黒留袖ほど一般的でないものの色留袖をレンタルしているところは数多くあります。また、五つ紋の色留袖に気に入った着物がなくても、三つ紋や一つ紋の色留袖の紋を増やすという裏技もあるんです。
また五つ紋の色留袖を着て行こうとお考えのイベントが、必ずしも五つ紋でなくともOKという場合もあります。ここでは色留袖とは?にはじまり、レンタルで五つ紋の色留袖をお探しの方が知っておくと役に立つ情報をいくつかご紹介していきたいと思います。
色留袖とは?
既婚未婚に関わらず使うことができる女性の礼装で、かしこまった席で使われることの多い色留袖は、黒以外の地色の留袖全般を指します。
縫い目をまたいだ柄付けをする絵羽模様が裾を中心に入っていますが、上半身は無地です。ただし地紋がある場合も多いので、光の加減によって控え目な美しさを演出することができます。
黒留袖に次ぐ格式高い着物なので、カジュアルな場面には向きません。大規模なパーティーの主賓となる場合や親族の結婚式などで着用します。シーンによっては、若い女性が訪問着で華やかに飾り、年齢の高い女性は色留袖で落ち着きを演出するという使い方もされます。
麻呂
14,900円(税抜)
海辺の小島
19,900円(税抜)
紋の数で変わる色留袖の格の違い
色留袖の紋の数は一つ紋、三つ紋、五つ紋のいずれかとなり、三つ紋が最も一般的です。紋の数が増えるごとに格式が高くなっていきます。
色留袖に五つ紋を入れると、第一礼装である黒留袖と同格になります。三つ紋は準礼装となるので、洋装で言うディナードレスなどと同格、一つ紋では略式礼装となりきれい目なワンピースなどを着用するシーンなどで利用します。三つ紋や一つ紋を着る身近なシーンには、例えばお子さんの入学式や卒業式、祝賀会などが挙げられます。
黒留袖はもとより五つ紋入りで、既婚女性のみが、比較的格式の高い行事やイベントにおける主賓・主催である場合に着る着物であるのに対し、色留袖は既婚でも未婚でも着られ、用途に合わせて紋の数に配慮することで、様々な行事・イベントに着ていけるのが特徴です。
一つ紋は背中の中心に付け、これを背紋と呼びます。三つ紋は背紋の他、両胸に抱き紋と呼ばれる紋が付きます。五つ紋は、それに加えて両袖に袖紋を付けます。
色留袖の紋は増やすことができる!
色留袖をレンタルしているお店のホームページを見てみると、五つ紋のものは少なめです。これは五つ紋の色留袖を着ていく立場やシーンが限られているため、需要に応じてもともと用意されている数が少ないからです。しかし、三つ紋は多くのデザインから選ぶことができます。
もし五つ紋に気にいるものがなく、三つ紋で気に入ったものがあった場合、貼り紋を使うことで紋の数を増やすという裏技があります。
貼り紋はシールのように貼ったり剥がしたりできる仕様の紋です。着用する色留袖の地色に合わせて作成するので、見た目にはそうそう貼り紋であることはわかりません。
貼り紋のメリット
貼り紋は、自分の必要な紋を選ぶことができます。全く紋の入っていない着物だけでなく、サイズを踏まえ、上から貼ることでもともと入っている紋を変えることもできます。
貼り紋のデメリット
予め商品として用意されている貼り紋は需要の多い黒地です。
色留袖や訪問着など地色が黒以外の着物の場合には地色に合わせてオーダーすることになるため、日数とオプション料金がかかります。簡単なシールタイプよりも、より強力に貼り付けられるアイロン圧着タイプもありますが、金額は高くなります。
また、注意点として貼り紋では男紋と呼ばれる、外側を丸く縁取りした紋を使います。男紋の縁取りがあると、貼り紋であることが目立ちにくいためです。
最近は男紋・女紋を気にする人は少なくなっていますが、一部の人には分かってしまいます。ただし下がり藤など、もともと家紋が縁取りのようなデザインになっている家紋ではフチなしタイプも利用することができます。
尚、着物をレンタルする場合、貼り紋は着付けてもらうお店で貼ってもらうことになり、宅配で着物のみレンタルする場合でも、ご自身で用意した貼り紋を勝手に貼ったり剥がしたりしてはいけません。
これは、貼り紋を貼ったり剥がしたりした際に粘着が残るなど、万一着物自体に支障を生じたりした場合、お店側に対し弁償しなければならないなどのトラブルを避けるためです。
当然物にも寄りますが、一時レンタルするのと着物一着弁償するのとでは金額が違います。お店によってはオーダーの貼り紋に対応していない場合や選択肢の限られる場合もあり、もっとも気に入った着物に、必ずしも希望した貼り紋が貼れるとは限りませんが、慶事に着る着物ですので最後まで気持ちよく過ごせるよう貼り紋の対応はお店の決まりに沿ってレンタルするようにしましょう。
既婚女性の紋は実家の紋?嫁ぎ先の紋?
女性がお嫁入りで黒留袖を誂える時に生じる疑問は、実家の紋を入れるのか?嫁ぎ先のものなのか?です。地域によって考え方に違いがあり、必ずこっちという正解がありません。
参考までに日本各地で最も多いのは「嫁ぐ前に作った着物は実家の紋、嫁いでから作ったものには嫁ぎ先の紋」という考え方です。由来は、もし離縁することになり嫁ぎ先の家を出ていくことになった場合に「これは私が実家から持ってきた財産です」と主張するためだったと言われています。
基本的には地域により違いが大きい問題なので、使用する場面や両家のこだわりの有無を踏まえてご家族で相談し、決めるのが良いでしょう。また、最近では家紋を全く重視しない、家紋が分からないという家も増えてきています。その場合は通紋と呼ばれる五三の桐などを使うことが多く、レンタルの着物にはこの通紋が入っている場合が多いです。
まとめ
黒留袖のようには現代着られることの多くない色留袖は、五つ紋つきとなれば数は少ないですがレンタルでの取り扱いはあります。第一礼装できりりと引き締まり、かしこまった場に映える着物であり、黒留袖より柔らかさや華やかさを演出することができます。どうしても五つ紋の入った色留袖をレンタルしたい場合は早めに探し始めるようにしましょう。
五つ紋で気に入った着物がなかった場合には、貼り紋という方法で紋を増やすという選択肢もあります。またレンタルであれば、着ていく場所や行事・イベントの主旨を伝えて着付け師の人に相談してみてください。ネットでの検索や伝聞で五つ紋とされていたとしても、必ずしも五つ紋でなくても格式的に問題ないというケースも、情報溢れる現代ではままあり得ることです。