これからお宮参りを予定しているときには、赤ちゃんに着せる産着の選び方や着せ方に戸惑うことがあるかもしれません。お宮参りは、男の子も女の子も生まれてから約1カ月後にするのが一般的ですので、お母さんもまだ赤ちゃんの扱い方などに慣れていないケースが多いです。赤ちゃんの体調を考えてしまい、何をどう着せていいかわからない、といったケースもあるでしょう。ここでは、お宮参りの際の産着の種類や着せ方についてわかりやすく解説していきます。
お宮参りで赤ちゃんが着る産着にはどんな種類がある?
お宮参りに赤ちゃんに着せる産着は、初着や祝着とも呼ばれています。このような着物は、赤ちゃんと赤ちゃんを抱っこした人が一緒に着られるようなデザインになっており、柄や色のバリエーションも豊富です。女の子用と男の子用にわかれているのが特徴で、それぞれ伝統的な絵柄があります。
例えば、男の子用は黒や紺の布地に兜や鷹などが描かれたデザインが多く、凛々しい雰囲気があるのが一般的です。一方で女の子用は御所車や手まり、牡丹といった華やかなモチーフが、赤やピンク色の布地にデザインされています。
お宮参りは、その土地の氏神さまに赤ちゃんが生まれたことを伝えて、仲間入りを認めてもらうための行事。氏神さまへの敬意を表し、印象付けをするために、華やかな産着を着せるのが習慣になっています。
赤ちゃんの産着はいつ着せるのがいい?最適なタイミングは?
実のところ、産着を赤ちゃんに着せるのにベストなタイミングはケースバイケースです。例えば、車や電車でお参りをする神社まで行くときには、神社についてから産着を着せてあげたほうがいいでしょう。家を出る際にはふだん身につけているベビー服を着せておき、現地に到着した後に産着を羽織ります。
移動中は天候や気温などの影響を受けやすいので、無理に産着を着せる必要はありません。歩いて行ける家の近所の神社などにお宮参りをするときには、家から産着を着ていっても特に問題はありませんが、暑い季節などは赤ちゃんに不快な思いをさせてしまうこともありますので注意をしましょう。神社では、手水舎で軽くお清めをしてから産着を着せるとスムーズにお参りができます。
お宮参りの産着の着せ方を徹底解説
自宅で済ませておきたいのが、例えば産着のお手入れです。レンタル店などで受け取った産着は折りたたんだ状態で箱に入っていることが多く、お参りをする前日に産着を和装用のハンガーにかけて折り目を少しとっておくと、着心地がグンとよくなります。
当て布などをしてアイロンをかけておけば、細かいシワも取れるでしょう。一度ハンガーにかけておくと、布地についているニオイなどもある程度取り除けます。神社に着いてすぐに着られるようにするには、産着と下着である襦袢の紐をあらかじめ重ね合わせておくのも1つのアイデアです。
産着と襦袢は一般的に重なった状態で箱に入っていますが、通常、紐はそのままになっています。お参りをする前に襦袢の紐を左右の産着の袖に通しておけば、そのまま羽織るだけで衣装を身につけられます。移動中に産着を持ち歩くときには、軽くたたんだ状態で風呂敷などに包むか、着物用のバッグに入れておくと便利です。
着せ方の流れ
1.あらかじめ通しておいた産着と襦袢の紐を持ち、左右に引っ張って背中にシワができないようにして、ピンと張った状態に布地の形を整える
2.赤ちゃんを包み込むようにして、産着を羽織る(でんでん太鼓や犬の張り子、お金といった縁起物を吊り下げる位置をこの時点で考えておくと便利)
3.赤ちゃんの首から上が見えるような位置に羽織った産着を調整して、お参り中に赤ちゃんが苦しくならないように工夫する(赤ちゃんの顔を覆いすぎないのがポイント)
4.きつく結びすぎないように注意をしながら、抱っこする人の肩の上(赤ちゃんの顔と反対側)で産着と襦袢の紐を一緒にちょうちょ結びにする(抱っこする人の後ろ姿のバランスを考えるとすっきりと見える)
ここからは、それぞれの流れの詳細を記載していきたいと思います。
流れ1:産着と襦袢の紐を持ち、ピンと張った状態に布地の形を整える
産着と襦袢に通しておいた紐を左右に引っ張ると、着物のシワが取れて布地がピンと張った状態に整います。産着の背中の部分にはシワが出来やすいので、しっかりと紐を引っ張って布地をなめらかな状態にしておきましょう。
あらかじめアイロンで布地の小さなシワを取り除いておけば、紐を引っ張るだけできれいな状態になります。一度産着を着てしまうと背中のシワが取りにくいため、身につける前に布地を整えておくのがいい方法です。
流れ2:赤ちゃんを包み込むようにして、産着を羽織る
お守りなどを紐に通したら、赤ちゃんを包み込むようにして産着を羽織ります。かつては、お宮参りの際に犬の張り子やでんでん太鼓、お金などをぶら下げる習慣もありました。つけ紐を使えば末広の扇子などを吊り下げることが可能ですので、少し大きなものを付けたいときには、あらかじめ紐を準備しておきましょう。
こういったお守りや縁起物は、抱っこする人の背中にくるように付けるのが一般的です。でんでん太鼓や犬の張り子などは少し大きいので、赤ちゃんの邪魔にならないように産着を羽織る時点で適当な位置を考えておくといいかもしれません。
流れ3:羽織った産着を調整して、赤ちゃんが苦しくならないようにする
産着は、赤ちゃんの顔がしっかりと見えるような位置に調整して羽織るのがポイントです。顔をあまり上まで覆ってしまうと、赤ちゃんが息苦しさを感じるようになってしまいますので、抱っこする人は、赤ちゃんの首が少し見えるようにして衣装を身につけましょう。
紐を結ぶ前であれば、産着の位置の調整も比較的自由にできます。必要に応じて同行する人などに手伝ってもらえば、ベストな位置に産着を調整できるでしょう。ちなみに、よだれ掛けなどは産着の外側に出しておきます。
流れ4:抱っこする人の肩の上(赤ちゃんの顔と反対側)で紐をちょうちょ結びにする
適当な位置に産着を調節できたら、産着と襦袢の紐を結びます。紐は、余りきつく結びすぎないようにしたほうがいいかもしれません。ただ、緩すぎても産着が安定しませんので、適度な加減で紐を結びましょう。結び目は、抱っこしている人のちょうど肩の上(赤ちゃんの顔と反対側)くるようにします。
ちなみに、お宮参りの際には紐をちょうちょ結びにするのが一般的です。吊り下げたお守りや縁起物が見えるように結び目の位置を考えると、抱っこしている人の後ろ姿がすっきりと見えます。
着せるときの注意点
産着を着せるときには、赤ちゃんの呼吸や体温調整などに影響を与えないようにするのが基本です。例えば、気温が高い真夏などにお宮参りをする場合は、内側の襦袢を外して着用したほうがいい場合もあります。赤ちゃんが汗をかいてしまうような状態は避けた方がいいので、季節やその日の気温に合わせて、適宜身につける衣装の種類も調整をしましょう。
長いことしまい込んでいた産着を着せる場合は、防虫剤のニオイなどが布地についていることもあるでしょう。このようなニオイがついていると、赤ちゃんに不快な思いをさせてしまう可能性がでてきます。アレルギーなどがなくても、ニオイが気になって機嫌が悪くなってしまうこともあるので、着用する前にはハンガーなどに吊るして、ニオイを取っておいたほうがいいでしょう。
お宮参りは臨機応変に
古くからの伝統的な習慣であるお宮参りも、徐々に簡略化されるようになっています。必要な産着などはレンタルでも利用ができるので、状況に合わせて臨機応変にスタイルを調整しやすいです。赤ちゃんの体調管理などに気を付けながら、お宮参りを満喫してみましょう。