今更聞けない、七五三の着物って何?〜七五三着物に込めた想い〜

あっという間に大きくなっていく子供。現代では当たり前にその年齢がやってくると行われる行事「七五三」ですが、昔は今ほど衛生面や医療の環境が整っていなかったため、死亡率も高く、今以上に子供の成長を祈願し、神聖な節目の儀式であったようです。
とはいえ、「健康で、元気に育って欲しい」という気持ちは、今も昔も変わらずの親心。ですが、七五三で着せる着物については、よく分からないというのが正直なところだと思います。
可愛い着物を選ぶのも楽しいですが、着物のことがわかって選ぶ七五三はもっと楽しくなります。とっても基本的なことですが、頭の隅に置いてみてください。年齢別にまとめてみました。

3歳、5歳、7歳…年齢で異なる着物の種類

■3歳・女の子

3歳はもともと室町時代から宮中で行われていた「髪置きの儀」というものが起源です。3歳になるまでは男女ともに頭を丸坊主にして(病気予防とされていた)、生えそろうまで待ち、髪置きの儀をもって髪の毛を伸ばしたそうです。
3歳の着物といえば、着物を覆う被布(ひふ)が特徴です。この年で帯を結ぶのはとても苦しいですから、帯は締めませんので、代わりに結んでいる腰紐を隠すために着ます。兵児帯を巻いて着せてもよいでしょう。被布はそもそもコートでちり除けの機能があります。3歳ですから、動いて汚れないようにという汚れ防止とも考えられています。

■5歳・男の子

「袴着の儀」が起源です。男の子はこの時に初めて大人と同じ様に袴を履きます。赤ちゃんだった男の子が少年に一歩成長するんですね。

大人になっても、子供でも、男の子の正装は羽織と袴を着きます。手には扇子をもって、とてもかっこいいですね。

■7歳・女の子

この年の着物になるとすっかり大人顔負けの着物になります。7歳では、「帯解(おびとき)」と言われて、それまで“三つ身”とよばれる小さい着物を着ていた女の子も“四つ身”の着物になり、帯は大人と同様のものを締めるようになります。七五三の際には、帯の下に“しごき”と呼ばれる、帯飾りを締め、胸元には“はこせこ”という飾りを入れるのが特徴です。

ちなみに、関西では十三参りという、13歳になったときに初めて、大人と同じ本裁ちとという仕立て方の着物を着る行事もあります。ここで大人の仲間入りなのですね。

子供の着物に特徴的な“あげ”って?なくてもいいもの?

大人にはなく、子供に特徴的なのが「腰あげ」「肩あげ」という大きめの着物のサイズを合わせるために縫い上げられた、腰と肩にあるひだ。

出典:http://www.soubien.jp/item/33231.html

子供は成長スピードが速く大きくなりますから、サイズぴったりに仕立てたらすぐ着れなくなってしまいます。それだけでなく、子供が成長しますようにという意味も込められ、たとえ大きくなっても、少しでも肩上げをしておいた方が良いとされています。「ヒダがないこと=これ以上成長しない」となってしまうためです。これは、七五三の豪華な衣装に限らず、浴衣でも一緒です。サイズを調整しながら、あげを直して着せてあげましょう。

七五三の定番柄の意味

男の子は鷹の柄、女の子は桜や菊といったお花に、鞠の柄で可愛らしい雰囲気のものが定番ですね。当たり前すぎて見過ごしていた、七五三の着物に込められた意味を一部ですが、ご紹介します。

■男の子

・鷹…鷹は優雅に、空高く舞い上がって、地上にある動物を見つけ、捕えることができます。その千里眼のような、先を見据える力を身につけ、雄大で、鋭い爪でがっちりと夢や幸運を掴みとってほしいという想いが込められているんですね。
・兜(かぶと)…端午の節句の際、五月人形として飾ることが一般的に知られていますが、七五三の着物柄でも鷹の次に多いくらいかもしれません。位の高い者だけが身につけることのできる兜は出世を願う縁起物です。
・鯉…兜と同様、端午の節句の際には、鯉のぼりとして有名ですね。鯉は川でも池でも生きていける生命力の強い魚だそうです。中国の故事では、急流の黄河をたくさんの魚が登ろうと試みる中、鯉だけが登りきり、のちに竜となった、という言い伝えがあります。その姿から鯉を出世の象徴と捉え、兜と共に端午の節句や七五三の着物の中で、男の子の成長祈願に用いる様になったと言われています。

■女の子の着物の柄

・桜…日本を象徴する、国の花。入学式などの門出を祝う席で咲く花としてとても縁起の良いものです。七五三は秋ですが、日本のお花なので、季節関係なく着ることができます。

・松竹梅…松と竹は寒い中でも色褪せず、梅は寒い冬に蕾を貯え春に花を咲かす。そういった力強い生命力や辛抱強さに縁起を担いでいます。松竹梅と聞くと、格付けの様な気がしてしまいますが、本来はそうではないのですね。

・蝶…さなぎから美しい蝶に姿を変える蝶は、美しい成長を願い女の子の着物には度々登場します。あまりにも蝶が身近すぎていましたが、確かに芋虫の状態からさなぎ、蝶というこの成長ぶりは驚くべき生体ですね。こうした生態を繰り返す様子には、不老不死の意味も含まれているそうです。

・鞠…丸くて可愛い鞠。その丸い形には「丸くおさまる」という意味があり、この先何があっても丸く収まり、健やかに成長できますようにと願いが込められています。

ごくごく一部の柄のお話ですが、着物には縁起の担いだ柄しか入っていません。日本人は古くから大切にされてきた言い伝えや、言葉、生命の神秘・現象を柄におこし、まとうことで、自分の一部としてきました。

お子さんが大きくなったときに、どんな想いで七五三の着物を選んだのか、少しでもお話できるようになると素敵ですよ。

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