結婚式での振袖は何歳までOK?振袖の着用由来から見た話

未婚女性の第一礼装である「振袖」。
ライフスタイルが多様化する中で「何歳まで着られるの?」という着用年齢の線引き論争が後を絶ちません。
長い着物の歴史の中で、振袖がどのように着られてきたのかという歴史の観点からこの終わりなき論争に迫ってみたいと思います。

振袖はいつ着られていた?

振袖の始まりは江戸時代半ばごろ。
子供や未婚の女性が正装として着る「振りのある長い小袖」として生まれました。
当時の袖丈は短いものでしたが、徐々に長くなり現在の「振袖」と呼ばれる大振袖や中振袖として定着しました。
長い袖には「厄を振り払う」意味合いがあったとされていますが、その袖を振ることで愛情を表現をするという意味もあったため、未婚女性の着物として扱われるようになります。
その習わしは現在の「成人式」に息づいていますよね!
結婚すれば他の男性に袖を振る必要もなくなるため、袖を留めた留袖を着るようになり、未婚女性には振袖、既婚女性なら留袖という概念が出来上がったとされています。
こうした歴史や慣習に習えば、未婚女性なら何歳でも振袖を着ても差し支えないと考えられますが、実際のところは30代前半までと考えるケースが多いとみられています。

袖を切り詰める、その意味とは?

時同じくして、江戸時代。その頃は若年者が着用する振袖の長い袖を結婚後に切り詰めて短くし、身八口を縫い留める習慣がありました。
このような着物を「留袖」と呼んでいました。ここから「留袖」と言う名称自体がやがて「婚家に留まる」と言う意味に転じ「既婚女性の礼装」とみなされるようになりました。

「愛しい男性に袖を振って呼び寄せる」この唄のいわれは?

古い時代から存在する「振袖」ですから、言い伝えもたくさん存在しています。
例えば、かの昔…女性が男性の求愛・求婚に対して、直接言葉で返答することははしたないこととされていた頃。
当時は女性から言葉で求愛することはとてもとても「はしたない」行為でした!そこで、未婚の女性は振袖の振り方で男性に意思表示をするサインを発明しました。
たもとを左右に振ると「貴方が好き」
前後に振ると「ゴメンナサイ」という意味を表します。
なんと現代で言う男女関係での「振る」「振られる」というのは、この振袖からきた言葉なのです!!!
つまり結婚したあとにそのようなサインを送る必要もなくなるはずなので、振袖ではなく留袖を着るというしきたりが生まれたというわけです。
昔の女性にとって嫁ぎ遅れることは大きな恥。結婚後はむしろ喜んで留袖に着替えて結婚していることを世間に対して明確にしたのだそうです。
また「愛しい男性に袖を振って呼び寄せる」という唄。
これは「袖」という言葉が古来より人との縁を意味して使われることが多く、また振るという言葉は魂を呼び寄せる意味に使われていたことが由来する唄です。
「魂振る」それ故に長い袖を振る動作には「自分のいとしい人を呼び寄せる」という願いが込められているのです!
これらのことから振袖は未婚女性の着物の代表として着られるようになったとも言えます。
何だか旗で送る信号のようですが、どこか奥ゆかしい日本の女性の美意識すら感じられますよね。

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