雷門をくぐる人を見守る風雷神
風雷神ってどっちがどっち?
雷門に設置されている風神雷神の見分け方は、門に向かって右側が風神、左側が雷神です。風神は、その名の通り風を司る神様で、風袋という風を起こす袋を担ぎ、牙をむいた青鬼です。一方雷神は、雷を司る神様で、小太鼓を輪の形に繋いだものを背負い、両手にバチをもっている赤鬼です。どちらも上半身裸で、足の指は2本ずつ、手の指は風神が4本ずつ、雷神は、3本ずつになっています。風神は農作物を風水害から護る神様、雷神は水神であり、火神でもあるので、農業用水を確保したり、日照りから守り、五穀豊穣を願う最高の神としてまつられています。ですから、現在は雷門と呼ばれていますが、本来は「風雷神門」という名前でした。また、元々風神雷神は悪神だったのでどちらも恐い形相をしていますが、神々との戦いに敗れ、仏教に帰依したため、善神になったということです。
風雷神の歴史
風を司る神「風神」と、雷を司る神「雷神」を一対として扱うことは、古くから仏教の美術において見られ、古代中央アジアに栄えたイラン系王朝のクシャーナ朝のコインにも描かれています。日本で一番有名な風神雷神は、京都の建仁寺にあった俵屋宗達による作品「風神雷神図(国宝)」でしょう。金色の鮮やかな屏風の両端に、鬼のような姿をした神として絶妙なバランスで躍動的な風神と雷神が描かれています。琳派美術の傑作とも言われ、その後多くの画家によて模写されてきました。特に雷神は、民間伝承では雷が落ちると「雷さまがヘソを取りに来る」とされ、こどもたちに恐れられる存在でした。上賀茂神社の賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)をはじめ神社の祭神にもなっています。
風雷神像はいつからあるの?
浅草の雷門には向かって右側に雷神像、左側に風神像が建てられています。風や雷をつかさどる神さまであり、浅草寺の護法善神です。天慶5年(942)に駒形付近に創建された雷門は、鎌倉時代以降に現在の場所に移築されました。その際に初めて風神・雷神が奉安されたといわれています。当初は風水害、火災からの除難を目的として創られました。雷門は、今までで3度の消失を経ています。慶応元年(1865)12月12日の田原町大火で雷門は炎上し、3度目の消失となりました。現在の門は昭和35年(1960)に松下電器の創業者である、松下幸之助氏の寄進により再建されたものです。風神雷神については、明治7年(1874)と昭和35年(1960)に修復され、現在の姿となっています。雷門および風神雷神は浅草のシンボルとして多くの観光客を集める人気スポットとなっています。
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