浅草の五重塔

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五重塔ってなにを祀ってるの?

五重塔は仏舎利を祀る建物です。仏舎利とは、お釈迦様の遺骨のことで、この仏舎利をめぐり国同士で争いが起きたため、仏舎利を8等分し、灰などを含めて10箇所の寺院に祀られました。この仏舎利を祀った塔のことを「ストゥーパ」と呼び、五重塔はこれに起源をもちます。釈迦は偶像崇拝を禁じていたために、この塔が信仰の中心だったとも言われています。インドや中国、そして韓国・朝鮮にもさまざまな形式でこの塔が存在し、この塔がインド、中国、そして、韓国・朝鮮へと伝えられるうちに形を変え、日本では楼閣建築の構造を取り入れ、三重塔や五重塔が作られました。五重塔の五重は、仏教の世界観である、「地」「水」「火」「風」「空」という世界を構成する5つの要素(五大)を表現しています。

五重塔の高さってどれくらい?

浅草寺の五重塔は、天慶5年(942年)に平公雅によって建立されたと伝えられています。しかし、長久2年(1041年)に火災によって倒壊し、寛永12年(1635年)再建されるも、再び寛永19年に炎上したと言われています。その後、慶安元年(1648年)三代将軍徳川家光によって木造で33.18mの五重塔が再建され、明治44年には国宝指定も受けますが、昭和20年(1945年)、太平洋戦争の戦火により惜しくも焼失してしまいます。そして戦後の昭和48年(1973年)、鉄筋鉄骨コンクリート造りで、回廊式塔院の上に五重塔を建てる、塔院造りによって再建されました。そのため、昭和に再建された五重塔は、地上53.32m、塔のみの高さは48.3mで、京都東寺に次いで2番目に高い五重塔となっています。

浅草以外に五重塔ってあるの?

奈良県には有名な五重塔が多く存在します。現存する世界最古の木造建築の五重塔である法隆寺の五重塔をはじめ、室生寺、興福寺、元興寺、海龍王寺にも国宝指定の五重塔があります。また、京都府にも国宝の五重塔が存在します。近世以前では日本一の高さを誇る東寺の五重塔のほか、醍醐寺、海住山寺の五重塔が国宝に指定されています。その他、国宝指定のものとしては山形県・羽黒山に平将門の創建とされる五重塔、広島県・明王院には南北朝時代の初期に建築された五重塔、山口県・瑠璃光寺には法隆寺、醍醐寺とならんで日本三名塔に数えられる五重塔があります。国の重要文化財にしていされている五重塔は、江戸時代に建築されたものがほとんどで、青森県・最勝院、栃木県・日光東照宮、千葉県・法華経寺、東京都・旧寛永寺・池上本願寺、新潟県・妙宣寺、愛知県・興正寺、石川県・妙成寺、静岡県・大石寺、京都府・法観寺・仁和寺・東寺、広島県・厳島神社、岡山県・備中国分寺など各地に存在しています。

なんで五重塔は五重なの?その意味は?

五重塔の起源としては、古代インドの「ストゥーパ」にさかのぼります。これはお墓に立てる卒塔婆(そとば)の語源ともなったもので、お釈迦様の遺骨を納めたものでした。これが中国に渡って層をなした塔の建物となり、現在私たちが目にしている五重塔と近いものになりました。卒塔婆にも5つの異なる形がかたどられており、これは「地」「水」「火」「風」「空」を表しています。この5つの要素は「五大」といい、インド哲学では古くからこの5つで世界が構成されていると考えられていました。多層の塔としては七重塔、九重塔、十三重塔といったものもありますが、この五大の考えに沿って、そしてお釈迦様が亡くなられてからの500年ごとを示しているという考え(最上の層が「末法」を表している)から、五重のものが多く作られました。

五重塔と三重塔の違いは?

浅草にある五重塔は、歴史的建造物として有名ですが、各地には有名な五重塔や三重塔が多数あります。ですが、lなぜ五重塔以外に三重塔があるのか、その違いはほとんど知られていません。そもそもお寺の塔は、仏教の祖である釈迦の遺骨である仏舎利をおさめるインドのストゥーパが中国に伝わり仏塔の形式となり、それが日本に伝わり、五重塔や三重塔という日本独自の仏塔のスタイルとなったものです。五重塔の階層は、下から地、水、火、風、空を表していると言われ、これは仏教の宇宙観である五大思想を象徴しており、これが5層の意味だと一般的には言われています。また三重塔については、天台宗のお寺に圧倒的に多く、この事から天台教理の三諦円融思想と言う事から来ているとも考えられていますが、諸説あるようです。いずれにしても、日本の仏塔においては塔頂に掲げられた相輪がストゥーパを象徴しているものであり、相輪こそが仏塔の本質と言えるのです。

浅草寺以外の浅草に五重塔はあるの?

浅草にある五重塔としては、浅草寺のものが唯一のものです。この五重塔は慶安元年(1648年)の建立で、関東大震災にも耐えましたが、東京大空襲の際に消失してしまいました。現存するのは、その後に場所を移して昭和48年(1973年)に再建されましたものです。東京に現存するほかの五重塔としては、旧寛永寺・上野公園にあるもの、これは重要文化財とされています。大田区池上の本門寺のものも重要文化財です。そのほか、日野市の金剛寺(高幡不動尊)にも存在します。浅草寺の五重塔、先ほどあげた旧寛永寺、池上本門寺、これに台東区谷中の天王寺の五重塔をくわえて「江戸四塔」と呼ばれました。ただし、天王寺の五重塔は1957年の放火事件によって消失してしまいました。

基本情報

浅草の五重塔
  • 東京都台東区浅草2-3-1
  • 境内自由
    4~9月 6:00~17:00
    10~3月 6:30~17:00
  • 03-3842-0181

アクセスマップ

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